自然への崇拝・おもてなし・宿根草花壇コンペへの挑戦>>相談所長の独り言

緑の相談所長  松永 龍児

好きなのは45年前の竹富島やウブドの路地。今の神戸や丹波篠山の街並みなどもいいですねえ。神社や寺院の入り口の雰囲気はずっと好きです。
2年前センターに来た時に決めたのは植物を通して「自然への崇拝」と「おもてなし」の心を表現しようと思いちょっと独り言。

1.センター入り口などの植栽 お金をかけずに花手水を作って中庭や前花壇を手持ちの植物で少し手直ししました。今は、花手水を入り口に5か所、明石駅と明石公園サービスセンターに各1か所作って、クスノキにはセッコク40種、風蘭数種、中庭にはアジサイ40種、ギボウシ40種、ツワブキ10種、寒葵やおもとの銘品を常時展示しています。冬にはクリスマスローズ等を展示するスペースを3か所設けています。室内も苔テラリウム10台、チランジア10種、多肉30種、洋蘭数種を常時展示しています。特に洋ランはJOGA入賞花の銘品を展示しています。また屋上にはロックガーデンを整備しています

2.コンペへの挑戦(東京パークガーデンアワード2022代々木公園) 今回3名の関係者で挑戦してみました。52作品のうちの結果は以下の通り。

作品タイトル 八丈島と世界の出会い

(グラス・カラーリーフを主体としたトリコカラーのトロピカルな蝶の舞う庭)

作品のテーマ 創作意図
島固有のサクユリ、アジサイ‘八丈チドリ’、斑入り月桃、ウコン、明日葉など白を基調にしたゾーンの左右に黄色と赤のグラスやカラーリーフを配置したトリコロールカラーの花壇。四季折々楽しめ、蝶の舞う常に動きがある庭。 

●春は、スノードロップ、スイセン、ラナンキュラス、‘ラックス’アマリリス、カラー、クリスマスローズの花々が、ギボウシの芽出しの前に咲きほこる。 
●初夏はグラス類が風に吹かれ、エキナセアやゲラニウムが咲きはじめる。
●夏はアジサイ、ギボウシやアスチルベの花に加えグラスも生えそろい、後ろにはトロピカルなカンナ、クルクマ、ウコンのカラーリーフが花をつけ合間にサクユリやタイタンビカスの大きな花が目を引く最高の季節となる。
●秋には爽やかに揺れるグラスの間のオミナエシ、フジバカマ、ホトトギスツワブキ等の花に蝶が舞う。
●冬も1.5mのコルディリネがトロピカル感を漂わせ、グラスや斑入りヤブラン、斑入りツワブキの後ろにクリスマスローズ、水仙、スノードロップが花を咲かせだす。

審査員名:吉谷桂子
作品は「八丈島と世界の出会い」というユニークな内容で、温暖化の進む環境を考えると「未来の庭に向けて必要な 庭の基本要素4ヵ条」
1.自然な雰囲気(Natural appearance) 
2.手入れが楽(Maintenance-friendly) 
3.生物多様性(Biodiversity)
4.耐久性と長寿(Durability & Longevity)
という条件においても実現可能な植物が選ばれ、基本のコンセプトがユニークなだけに、植栽デザインの要素が引き算で整理され、植物構成がさらに構築的になるともっと良かったです。 
審査員一同、断腸の思いの判断となりましたが、今後もエコロジストとガーデンデザイナー、視点の両方においてのさらなるご活躍を期待しています。

 植物を扱っている人には自分で考える力をつけ、気になっていた草花を入れすぎているということをなかなか理解してもらえなかったので、審査員の指摘はちょうどよい機会になったと思います。

第1回東京パークガーデンアワード提出資料
PDFデータ
現在、都立公園にて展開している「花と光のムーブメントプロジェクト」の一環として、新しい発想を活かした花壇デザインを競うコンテスト「第1回 東京パークガーデンアワード」を代々木公園で開催します。このコンテストの最大の特徴は宿根草等を活用した「持続可能なロングライフ・ローメンテナンス」をテーマとするこれまでにないコンテストであること。デザインはもとより、植物や土壌の高度な知識が求められ、今までのものとは一線を画すガーデンコンテストです。

花緑センターだより(公財)兵庫県園芸・公園協会 花と緑のまちづくりセンター 令和5年3月 64号より